保健師国試の感染症対策|感染症法の類型・結核の接触者健診・学校の出席停止
保健師国家試験の感染症対策を整理。感染症法の一類〜五類と入院勧告・就業制限の対応表、結核の接触者健康診断・DOTS・潜在性結核感染症、学校の出席停止日数の計算、食中毒の潜伏期間、施設内感染の対応を、過去問で問われる形で解説します。
このページでわかること
- 感染症法の類型(一類〜五類)と、とれる措置の整理
- 結核対策(接触者健診・DOTS・潜在性結核感染症)の要点
- 学校の出席停止、食中毒、標準予防策など、頻出テーマの覚え方
感染症は「類型 × 措置」で整理する
感染症対策は、毎回、11問以上、出題される主要な分野です。基本になる法律は感染症法で、感染症を、危険性などに応じて、一類〜五類などに分け、類型ごとに、とれる措置が決まっています。
| 類型 | 主な感染症 | 入院勧告 | 就業制限 | 届出 |
|---|---|---|---|---|
| 一類 | エボラ出血熱・ペスト・痘そうなど | ○ | ○ | 直ちに |
| 二類 | 結核・ポリオ・ジフテリア・SARS・MERSなど | ○ | ○ | 直ちに |
| 三類 | コレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症・腸チフス・パラチフス | × | ○ | 直ちに |
| 四類 | A型肝炎・デング熱・日本脳炎・マラリアなど | × | × | 直ちに |
| 五類 | インフルエンザ・麻しん・風しん・梅毒・性器クラミジア感染症など | × | × | 全数把握または定点把握 |
ポイントは次のとおりです。
- 入院勧告は、一類・二類(と新感染症など)が対象です。三類の腸管出血性大腸菌感染症の無症状病原体保有者は、入院勧告の対象外です。
- 就業制限は、一類〜三類が対象で、飲食物に直接接触する業務などに限られます。外出が制限されるわけではありません。復帰は、検便で、陰性を確認してからです。→就業制限と入院勧告
- 五類にも、全数把握のもの(麻しん・風しんなど)と、定点把握のもの(インフルエンザ・性器クラミジアなど)があります。「五類=定点把握」ではありません。
- 新型コロナウイルス感染症は、2023年5月8日から、五類感染症に移行しました。
平常時と発生時の対応を区別する
感染症法の行政は、平常時の備え(発生動向調査・予防計画・特定感染症予防指針)と、発生時の対応(積極的疫学調査・入院勧告・就業制限・消毒)に分けて考えます。「発生時の対応はどれか」と問われたら、積極的疫学調査が代表です。
結核対策は頻出(25問)
結核は、タグで数えても、感染症の中で最も出題が多いテーマです。
接触者健康診断
結核の接触者健康診断は、保健所が行い、次の3つで、対象と優先順位を決めます。
- 感染源の感染性の強さ(喀痰塗抹検査の結果・胸部エックス線の空洞の有無・咳の期間)
- 接触の濃さ(同居・同室・共用の空間・長時間・近距離)
- 接触者の発病リスク(乳幼児・高齢者・免疫が低下した人)
感染性が低い(塗抹陰性・空洞なし・培養のみ陽性)場合は、全員ではなく、免疫が低下している人など、リスクの高い接触者から、優先して行います。検査は、症状のない接触者では、IGRA(インターフェロンγ遊離試験)と胸部エックス線です。ツベルクリン反応は、BCGの影響を受けるため、優先されません。
DOTS(直接服薬確認療法)
DOTSは、治療の中断を防ぐ服薬支援です。全結核患者と、潜在性結核感染症の人が対象で、服薬確認の頻度は、中断のリスクが高いほど、高く(毎日・週1〜2回・月1〜2回)設定します。方法は、外来・薬局・訪問・連絡確認など、本人の状況に合わせます。
潜在性結核感染症
潜在性結核感染症(LTBI)は、感染しているが、発病していない状態で、感染性はありません。家族にN95マスクは不要で、BCG接種も不要です。発病予防のために、イソニアジドなどを6〜9か月内服し、医師の発生届と、公費負担の対象です。
学校の感染症と出席停止
学校保健安全法では、感染症を第一種〜第三種に分け、出席停止は校長、臨時休業(学級閉鎖など)は学校の設置者が決めます。
| 感染症 | 出席停止の期間の基準 |
|---|---|
| インフルエンザ | 発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで |
| 麻しん | 解熱後3日を経過するまで |
| 風しん | 発疹が消失するまで |
| 流行性耳下腺炎 | 腫脹の発現後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで |
| 新型コロナウイルス感染症 | 発症後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで |
日付の計算は、発症日・解熱日を、それぞれ0日目として数え、2つの条件の、遅い方に合わせます。例えば、1月13日に発症し、1月18日に解熱した、インフルエンザの小学生は、発症後5日が1月19日から、解熱後2日が1月21日からなので、登校できるのは1月21日です。
食中毒は「型」と「潜伏期間」
食中毒は、感染型(サルモネラ・腸炎ビブリオ・カンピロバクター)、毒素型(黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌)、生体内毒素型(腸管出血性大腸菌・ウェルシュ菌)に分けられます。黄色ブドウ球菌の毒素は、耐熱性で、食べる直前に加熱しても、防げません。
潜伏期間は、原因を推定する手がかりです。
- 短い(1〜5時間):黄色ブドウ球菌
- 中くらい(6〜18時間):ウェルシュ菌
- 長い(2〜5日):カンピロバクター・腸管出血性大腸菌
診断した医師は、食品衛生法により、直ちに最寄りの保健所長に届け出ます。
施設内感染と標準予防策
高齢者施設などで、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が、集団で発生した場合(アウトブレイク)の対応です。
- 標準予防策(手指衛生・個人防護具)を徹底する
- 発症者と、未発症者の居室を分ける(ゾーニング)
- 嘔吐物は、乾燥する前に、使い捨ての手袋・マスク・エプロンで処理し、次亜塩素酸ナトリウムで消毒する(アルコールは効きにくい)
- リネンは、85℃で1分以上の熱水、または、次亜塩素酸ナトリウムで消毒する
- 調理従事者は、症状が消えた後も、一定期間、調理を控える
アウトブレイク・エピデミック・パンデミックの用語の区別も、確認しておきます。
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よくある質問
結核の接触者健康診断で、症状のない接触者にはどんな検査を行いますか?
インターフェロンγ遊離試験(IGRA)で感染の有無を調べ、胸部エックス線検査で発病の有無を確認します。ツベルクリン反応はBCG接種の影響を受けるため、IGRAが優先されます。
学校でインフルエンザの出席停止が終わる日は、どう計算しますか?
「発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで」です。発症した日と解熱した日を、それぞれ0日目として数え、2つの条件を満たす日のうち、遅い方に合わせます。