保健師国試の災害保健活動対策|フェーズ0〜4とDMAT・DHEATの違い
保健師国家試験で頻出の災害保健活動を解説。フェーズ0〜4の時期区分ごとの優先課題、DMAT・DHEAT・災害拠点病院の役割の違い、国・都道府県・市町村の役割分担を過去問とあわせて整理します。
このページでわかること
- 災害保健活動の基本(フェーズ0〜4の時期区分、DHEAT・DMAT・災害拠点病院の役割の違い)
- 「国・都道府県・市町村」の役割分担で間違えやすいポイント
- 実際の過去問での問われ方
災害保健活動が頻出分野になっている理由
保健師国家試験では「災害時の保健活動」が公衆衛生看護学・健康支援と社会保障制度・疾病の予防と管理など複数の科目にまたがって出題されます。似た名称の組織(DMAT・DHEAT・EMIS等)や、時期によって優先度が変わる支援内容が問われるため、用語同士の役割の違いと時期ごとの優先課題を整理しておくことが得点のポイントです。
時期区分(フェーズ0〜4)で優先課題が変わる
災害直後は状況が急激に変化し、時間が経つほど変化が緩やかになっていく(対数的な変化)という時間感覚を踏まえて、自治体の災害時保健活動マニュアル等では災害後の経過をフェーズ0〜4に区分して整理されることが多くあります。
| 時期 | 目安 | 優先度が高い健康課題 |
|---|---|---|
| フェーズ0(超急性期) | 発災直後〜数時間 | 避難行動要支援者(独居高齢者等)の安否・避難状況の個別確認 |
| フェーズ1〜2(急性期・亜急性期) | 数日〜数週間 | 感染症の流行、慢性疾患治療の中断、栄養バランスの不良 |
| フェーズ4(復旧・復興期) | 仮設住宅入居後〜 | 社会的孤立、コミュニティの分断、生活再建の格差 |
※フェーズの呼称・区切り方は資料により幅があるため、試験では「発災直後ほど生命保護に直結する対応が優先され、時間が経つにつれて生活再建・孤立防止といった課題に移っていく」という方向性を押さえておくことが重要です(※フェーズ区分の詳細な定義は自治体・資料により表現が異なるため、断定的な暗記よりも傾向として理解することを推奨)。
間違えやすいポイント:DMAT・DHEAT・災害拠点病院の役割
名称が似ている組織・制度の役割を混同しやすいため、以下のように整理すると区別しやすくなります。
- 災害拠点病院:重症患者の受け入れ・治療を行うとともに、DMATを派遣する体制を備えた医療機関。整備は阪神・淡路大震災(1995年)を教訓に平成8年(1996年)の厚生省(当時)通知により開始された(東日本大震災ではない点に注意)。指定要件は厚生労働省の通知に基づくもので、災害対策基本法ではない。地域災害拠点病院は原則として二次医療圏ごとに1か所以上設置される。
- DMAT(災害派遣医療チーム):平成17年(2005年)発足。災害拠点病院等から派遣され、主に急性期の医療そのものを担う。
- DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム):被災都道府県・市町村の保健医療調整本部等に対する指揮調整機能の支援が主な役割。被災した市町村の保健活動の評価や、派遣される保健師等の受入調整を行う。避難所での直接的な健康相談やトイレの衛生対策、家庭訪問といった現場の実働支援そのものは担わない点が最大のひっかけポイント(現場の実働支援は被災自治体の保健師や派遣保健師チームが担う)。
役割分担のイメージとしては、「DMAT・被災自治体保健師=現場で直接動く」「DHEAT=現場を指揮調整する側を支援する」と整理すると混同しにくくなります。
国・都道府県・市町村の役割分担
災害対策基本法に基づく役割分担も頻出です。
- 市町村:指定緊急避難場所・指定避難所の指定(同法第49条の7)など、住民に最も身近な基礎自治体として避難所運営等の初動対応の中心を担う。
- 都道府県:傷病者の広域搬送、基幹災害拠点病院の整備、被災者生活再建支援金の支給(被災者生活再建支援法)などを担う。
- 災害救助法:都道府県知事等が応急的な救助(避難所・応急仮設住宅の供与、食品・飲料水の供給、生活必需品の給与、医療・助産、被災者の救出、住家の応急修理、埋葬等)を行うことを定める。自主防災組織の促進や地域防災計画の作成は災害対策基本法に基づく仕組みであり、災害救助法とは別の法律である点に注意。
実際の過去問での問われ方
例1:フェーズごとの優先課題を問う設問
第109回午前問15では「災害時のフェーズ4〈復旧・復興期〉における健康課題への対応で優先度が高いのはどれか」という形で出題され、正解は「社会的孤立」でした。栄養バランスの不良・慢性疾患治療の中断・感染症の流行は、いずれも避難所生活が中心となる急性期〜亜急性期に優先度が高い課題として不正解の選択肢に含まれています。
例2:DHEATの役割を問う設問
第108回午前問34では「災害時健康危機管理支援チーム〈DHEAT〉の保健師が被災地で行う活動はどれか。2つ選べ」という形で出題され、正解は「被災した市町村の保健活動の評価」と「派遣保健師の受入調整」でした。避難所での健康相談・トイレの衛生対策・家庭訪問はいずれも現場の実働支援にあたるため不正解です。
例3:災害拠点病院の要件を問う設問
第107回午前問23では「災害拠点病院について正しいのはどれか」という形で出題され、正解は「被災地へ災害派遣医療チーム〈DMAT〉を派遣する体制を備える」でした。整備の契機(阪神・淡路大震災)や根拠(厚生労働省通知であり災害対策基本法ではない)、設置単位(二次医療圏ごと)がひっかけとして問われています。
例4:市町村の役割を問う設問
第112回午前問15では「災害対策基本法に基づく市町村の役割はどれか」という形で出題され、正解は「避難所の指定」でした。傷病者の広域搬送・基幹災害拠点病院の整備・被災者生活再建支援金の支給は、いずれも都道府県が主体となる役割です。
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