保健師国試の母子保健対策|妊娠期から乳幼児期までの制度・健診・指標の整理

保健師国家試験の母子保健を、妊娠の届出・妊婦健診・新生児訪問・産後ケア・乳幼児健診・虐待対応まで、時系列の表で整理。周産期死亡率・妊産婦死亡率などの指標の定義と、母子保健法・労働基準法・均等法の制度の違いも、頻出ポイントとあわせて解説します。

このページでわかること


母子保健は「切れ目のない支援」が基本

母子保健は、母性と乳幼児の健康の保持・増進を目的とする分野で、保健師国家試験では、毎回、10〜20問程度出題されます。基本になる法律は母子保健法で、住民に身近な基本的なサービスは、市町村が提供します(都道府県ではありません)。

妊娠期から、産後、乳幼児期まで、時期ごとに、制度が整理されているため、時系列で覚えると、頭に入りやすくなります。


時系列で見る母子保健の制度

時期 主な制度・事業 ポイント
妊娠期 妊娠の届出・母子健康手帳の交付 市町村が交付。届出時の面接で、支援が必要な妊婦を把握
妊娠期 妊婦健康診査 標準的な回数は14回程度。公費助成は市町村
妊娠期 特定妊婦への支援 出産前から、養育の支援が特に必要と認められる妊婦。児童福祉法に規定
出産前後 産前産後休業・母性健康管理 労働基準法・男女雇用機会均等法の制度
出産後 新生児訪問指導・乳児家庭全戸訪問事業 新生児は生後28日以内、全戸訪問は生後4か月までの乳児が対象
出産後 産後ケア事業 母子保健法に基づく。令和3年度から、市町村の努力義務
出生時 低出生体重児の届出 出生体重2,500g未満。保護者が、市町村に届け出る
乳幼児期 乳幼児健康診査 1歳6か月児・3歳児健診は、市町村の実施が義務
新生児期 新生児マススクリーニング 先天性の代謝異常などを、早期に発見し、治療につなげる
乳幼児期 予防接種 定期接種の実施主体は市町村

国試で問われやすいポイント

妊娠の届出と母子健康手帳

妊娠した人は、市町村に届け出て、母子健康手帳の交付を受けます。保健師は、届出の面接で、妊娠への気持ち、家族の支援、経済状況、精神疾患の既往、転入したばかりで知人がいないといった、社会的な背景を把握します。「うつ病の既往があり、転居して知り合いがいない」ような事例では、母親学級など、地域とのつながりをつくる提案が適切になります。

妊婦健診と、働く妊婦の保護

妊婦健診の公費助成は市町村が行います。働く妊婦には、労働基準法で、妊産婦が請求した場合の、時間外・休日・深夜労働の制限、産前6週(多胎は14週)・産後8週の休業、男女雇用機会均等法で、健診を受ける時間の確保や、医師の指導に基づく措置(母性健康管理措置)が、定められています。どの法律の制度かを、区別して覚えます。

産後の支援

産後は、母親の心身の変化や、育児不安から、産後うつや、虐待のリスクが高まる時期です。新生児訪問・全戸訪問・産後ケア事業・産婦健診で、状況を把握し、必要な支援につなげます。退院後の家庭訪問では、児の体重増加(授乳が足りているか)、母親の心身の状態(エジンバラ産後うつ病質問票)、家族の支援体制を確認します。体重増加の目安は、生後3か月までで、1日25〜30g程度です。

乳幼児健診

法律で、市町村に実施が義務づけられているのは、1歳6か月児健診と3歳児健診です。4か月児・10か月児健診などは、市町村が、独自に、実施しています。健診の問診では、月齢ごとの発達の目安を、取り違えない点が問われます。

健診で、発達の遅れが疑われても、保護者が受け止められないときは、気持ちに寄り添い、関係を保ちながら、訪問などで経過を見守ります。

子ども虐待への対応

虐待の疑いは、通告の義務があり、児童相談所または市町村に、通告します。通告者の情報は、守られます。市町村は、要保護児童対策地域協議会で、関係機関と情報を共有し、役割を分担します。児童相談所は、一時保護や、施設入所措置、再統合の支援など、専門的な対応を担います。令和6年度からは、母子保健と児童福祉を一体的に担う、こども家庭センターの設置が、市区町村の努力義務になりました。


母子保健の指標

指標 定義 単位
乳児死亡率 生後1年未満の死亡数 ÷ 出生数 出生千対
新生児死亡率 生後4週(28日)未満の死亡数 ÷ 出生数 出生千対
周産期死亡率 (妊娠満22週以後の死産数 + 早期新生児死亡数)÷ 出産数 出産千対
妊産婦死亡率 妊娠中または妊娠終了後42日未満の死亡 ÷ 出産数 出産10万対
合計特殊出生率 15〜49歳の年齢別出生率の合計 —

乳児死亡率、周産期死亡率・妊産婦死亡率は、分母(出生か出産か)と単位(千対か10万対か)を、取り違えないようにします。合計特殊出生率は、人口を長期的に維持できる水準(人口置換水準)が、約2.07です。日本は、1975年に2.0を下回りました。


母子保健の計画と、国の方向性

「健やか親子21(第2次)」は、2015年度から2024年度までの、母子保健の国民運動計画です。3つの基盤課題(A:切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策、B:学童期・思春期から成人期に向けた保健対策、C:子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり)と、2つの重点課題(育てにくさを感じる親に寄り添う支援、妊娠期からの児童虐待防止対策)で構成されています。十代の健康水準の指標(性感染症罹患率など)は、基盤課題Bに含まれます。


HokenPass で母子保健の過去問を解く

✅ 母子保健の過去問(84問)を無料で演習できる ✅ 乳幼児健診・家庭訪問・虐待対応など、事例問題の解説を、選択肢ごとに確認できる ✅ 分野別の絞り込みで、母子保健だけを、まとめて演習できる

👉 HokenPass で過去問を解く


関連記事


よくある質問

母子保健法で市町村に実施が義務づけられている乳幼児健診は何ですか?

1歳6か月児健康診査と3歳児健康診査です。4か月児健診や10か月児健診などは、市町村が、独自に、実施している健診です。

周産期死亡率と妊産婦死亡率の分母と単位は何ですか?

周産期死亡率は、妊娠満22週以後の死産数と早期新生児死亡数の合計を、出産数(出生数と妊娠満22週以後の死産数の合計)で割った、出産千対の値です。妊産婦死亡率は、妊娠中または妊娠終了後42日未満の死亡を、出産数で割った、出産10万対の値です。