健康の社会的決定要因(SDH)とは|構造的決定要因と中間的決定要因の違い

保健師国家試験で頻出の健康の社会的決定要因(SDH)を解説。構造的決定要因と中間的決定要因の違い、プライマリヘルスケア・ヘルスプロモーション(オタワ憲章)とのつながりを、実際の過去問とあわせて整理します。

このページでわかること


健康の社会的決定要因(SDH)とは

健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health:SDH)は、WHOが示す枠組みで、健康格差を生み出す社会的な要因を指します。個人の生活習慣だけでなく、その人が置かれている社会的な環境そのものが健康状態に影響するという考え方です。

WHOの「健康の社会的決定要因に関する委員会(CSDH)」が2010年に示した概念枠組みでは、SDHは大きく2つに分けられます。

分類 内容 具体例
構造的決定要因 社会経済的・政治的背景の下で生じる、社会階層に関わる要因 社会階層、教育、職業、収入、ジェンダー、人種
中間的決定要因 構造的決定要因が健康に影響を及ぼす経路にあたる要因 居住・労働環境、食品の入手可能性、心理社会的要因、行動・生物学的要因

構造的決定要因が「土台」となる社会的な立場や属性であるのに対し、中間的決定要因は「その土台がどのような経路を通じて実際の健康状態に結びつくか」を表す要因、と整理すると理解しやすくなります。


間違えやすいポイント

「居住環境」や「行動・生物学的要因」は構造的決定要因ではない

居住・労働環境や食品の入手可能性、心理社会的要因、行動・生物学的要因は、一見すると社会的な要因に見えますが、CSDHの枠組みでは中間的決定要因に分類されます。構造的決定要因はあくまで社会階層そのものに関わる要因(社会階層・教育・職業・収入・ジェンダー・人種)に限られる点に注意が必要です。

SDHはプライマリヘルスケア・ヘルスプロモーションの理念とつながっている

SDHは単独の概念として出題されるだけでなく、公衆衛生の歴史的な理念とセットで問われることがあります。

いずれも、健康を個人の責任にとどめず、社会的な環境や仕組みの側から改善しようとする点でSDHの考え方と共通しています。PHCとヘルスプロモーションは提唱年(1978年・1986年)や活動原則の文言が異なるため、混同しないよう区別して覚える必要があります。


実際の過去問での問われ方

例1:構造的決定要因を直接問う設問

第110回午前問31では「健康の社会的決定要因のうち構造的決定要因はどれか」という形で、教育・居住職場環境・食品の入手可能性・心理社会的要因・行動と生物学的要因の5つから選ばせる出題がありました。構造的決定要因にあたるのは教育のみで、他の4つはいずれも中間的決定要因に分類されます。

👉 この問題を解く(第110回 午前問31)

例2:プライマリヘルスケアとオタワ憲章の違いを問う設問

第110回午前問1では「プライマリヘルスケアの説明で正しいのはどれか」という形で出題されました。正解は「活動原則の1つに地域資源の有効活用がある」で、「健康的な公共政策づくり」はオタワ憲章のヘルスプロモーションの活動領域であり、PHCの説明としては誤りとされています。PHCとヘルスプロモーションの活動原則を混同しないことがポイントです。

👉 この問題を解く(第110回 午前問1)

例3:オタワ憲章の5つの活動方針を問う設問

第112回午前問34では「オタワ憲章で提唱されているヘルスプロモーションの活動方針で正しいのはどれか(2つ選べ)」という形で出題されました。正解は「個人技術の向上」と「健康的な公共政策づくり」で、共生社会の実現・適正技術の使用・地域資源の有効活用はオタワ憲章の文言には含まれていません。

👉 この問題を解く(第112回 午前問34)

例4:「健康を支援する環境づくり」の具体例を問う設問

第108回午後問35では、企業の保健師による従業員への働きかけのうち「健康を支援する環境づくり」に該当するものを選ばせる出題がありました。事業所の敷地内禁煙や社員食堂での減塩メニュー提供は環境そのものを整える取り組みに該当する一方、ブラッシング指導やリーフレット配布、面接指導は個人への直接的な教育・指導であり区別されます。

👉 この問題を解く(第108回 午後問35)


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